読んだ備忘ログ

本とマンガの読書感想ブログ

ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」

Kindle Unlimitedで無料だったので読んでみた。

面白かった!

ソニーの社長だった平井さんの本。
内容は平井さんの自伝とソニー再生の話。

平井さんが立て直した会社は3つ
・米 ソニーコンピュータエンタテインメント
(プレステ発売時に社内の統制が取れておらず抜擢)
ソニーコンピュータエンタテインメント
プレステ3の大赤字の時に抜擢)
ソニー(大赤字の時に抜擢)


平井さんは子供の頃、親の仕事で海外と日本を数年おきに行き来する生活をしていた。異なる文化・異なる意見を持つ人たちとの環境で大変ながらも成長できた経験が、大人になってから「異見(異なる意見)」に耳を貸す原点となっている。

元々、CBSソニー(現ソニーミュージック)で音楽の仕事をしていたところ、アメリカのプレステの仕事に駆り出され、手伝ううちに米ソニーコンピュータエンタテインメントを立て直すことになり、更にプレステ3でつまづいた日本のソニーコンピュータエンタテインメントを立て直すことになり、その後ソニーの立て直しをおこなっている。

リーダーとしてマネジメントする時に、まずはヒアリングをすること、現場にも定期的に顔を出して話しやすい雰囲気をつくってヒアリング、「異見」を聞き、分からないことは知ったかぶりをせず聞き、決めたことは必ずやる、責任を取る、人が嫌がるリストラなどは自らが行う。

己はカリスマでは無いと言う平井さんはEQ(心の知能指数)が大事だと言っている。

 

メモ:
・それでは「このままでは会社は潰れる」という危機感が現場には伝わらない。これは社長が本気で取り組もうとしていることなのだと、伝える必要がある

・「まずは成功した状態をイメージせよ」と話す。その状態を実現するためには何をすべきかを逆算する
                
・組織全体が向かうべき方向を示さないことには何も始まらない。ここをおろそかにしてはいけないというのが、私が過去の経営再建の経験で学んだことだっ
                
・どこに行っても私が伝えようとしたのはとにかく、「ソニーが目指すのはKANDO。お客様に感動を与える製品やサービスをみんなで創り出そう」ということだった。これはトップが直接伝えるしか
                
・トップは伝えたいことを直接現場に行って語りかけなければ目指す方向性はなかなか共有できない
                
・まずやってはいけないのが、事前に社員から質問を集めて司会が読み上げるという形式だ。これでは予定調和の答弁のようなものだと思われる
                
・「リーダーは自社の商品やサービスの一番のファンであれ」これも私がよく口にする言葉
                
・研究開発というものは思い通りに進むことばかりではないので、進捗がない時もある。それでもいい。大事なのはこちらの期待を伝えること。そして、エンジニアたちのがんばりに対して「ちゃんと見ているぞ」と示すことなのだ
                
・ビル売却の最大の狙いはもちろん財務体質の強化だが、私としてはもうひとつの狙いがあった。それは社内に向けた強烈なメッセージである。「ソニーはこれから構造改革に着手する。そこに聖域はない。ノスタルジーが入り込む隙間もない。そして平井は一度決めたら必ず実行する
                
・当時のソニーは「テレビの販売台数に依存した流通モデル」という積年の課題を抱えていると考えた
                
・量を追う経営からの脱却はいずれやらなければならない
                
・私から見ればソニーとアップルはまったく違うビジネスを手掛けている会社だと思うのだが、何かと比べられることがある
                
・アップルについては大いに学ぶべきことがあった。あれだけ瀕死といえる状態から再スタートしてもちゃんとしたマネジメントがリーダーシップを持って素晴らしい製品やサービスを提供できれば、再び輝きを取り戻せるという事実を示したことだ
            
・ものごとを決めていく過程で互いに異見をぶつけ合うこと、そしてそれができる雰囲気を作ることは、私にとってはマネジメントチームを運営する上での大原則となる。その前提になる心がけが三つある。                
・第一に、リーダーはまずは聞き役に徹する
・第二に、期限を区切る
・第三に、これがリーダーの役割になるのだが、最後はリーダー自身の口で方向性を決めること。そして、一度決めたらぶれない
                
・責任を持つのはリーダーだが、「一度決めたら後になって蒸し返さない」ということはリーダーだけでなくその場にいるマネジメントチームの全員で共有する必要があると思う
                
・繰り返しになるが心が痛むからこそ、つらい決断を先送りにしてはいけないのだ
                
・時として偉大な成功は、その後の成長を阻害する要因にもなりうる。今の経営の方向性は現役の経営者が決めるべきだ

・会社設立の目的の第一項に書かれた「愉快ナル理想工場ノ建設」を何度か引用してきたが、実はこの趣意書の「経営方針」の第一項には「いたずらに規模の大を追わず」と記されている
                
・TS事業準備室は既存の組織には属さず、社長直轄にした。社長直轄で守らないとこのような新しい取り組みは立ち上がらないと思ったからだ
                
・収益面では巨大なソニーの中では小さい存在だったかもしれないが、お客様に対するイメージはもちろんのこと、社員に対する「もっと自信を持って、リスクを取って、新しいことに挑戦できるんだ」というメッセージを感じ取ってもらえたのではないかと思っている
                
・なるべくざっくばらんに意見を聞きたいからだ。とは言っても相手は社長だし、しゃべりにくいこともあるだろう。私の方からこんな風に切り出す。「最近、なんか悩みとかある?」
                
・こういう新しい取り組みに際して、リーダーが「あとはやっといてね」と言って部下に任せっきりでは、絶対にダメだ。その部下はさらに部下に丸投げして、さらにその下に……、ということが起きてしまい、結局はいつのまにかどこかで消えてしまう。特に大きな組織になればなるほど、リーダーが強くコミットすることで組織は動き始める
                
・そもそもアイボのような遊び心に満ちた商品を再び世に出すのは、市場やお客様だけでなく、社員に対して「ソニーはここまで来たんだ」という強烈なメッセージになると考えたからだ