読んだ備忘ログ

本とマンガの読書感想ブログ

ぼくらの仮説が世界をつくる

元マンガ編集者で現在は経営者の作者。

編集者時代は「ドラゴン桜」「宇宙兄弟」を手掛け、現在は作家エージェント会社を起業し経営者として発展途上にある。
そんな作者が仕事をしてきた中で気づいたことが書いてある。

編集者としての視点、経験が面白い。

ビジネスマン以外に、マンガ家、作家など何かを表現する人が読んでも面白いかも。

 

メモ:

●仮説を立てる
・仮説を立てるときは、誰でも得られるような数字のデータではなく、「日常生活の中で、なんとなく集まってくる情報」そして「自分の中にある価値観」のほうが大切なのです。
・前例主義に陥らないためには「先に」仮説を立ててみることです。 そしてその仮説を補強・修正するために、情報を集めてくる。その順番が大切です。
・大胆な仮説を立てるためには、あらゆる常識や、これまでの慣習というものに囚われず、自由に思考することが大切です。 ぼくはものごとの本質を考えるときに「自分が宇宙人だったら、どういうふうに考えるだろう」 と思考しています。

●作家
・作家というのはオリジナリティが勝負です。それを既製の箱の中に無理やり入れてしまうことは、せっかくの個性を潰してしまうことになる。そうすると、一時は売れるかもしれませんが、長く活躍することはできません。
・作家とそうではない人の分水嶺は「頭の中にもうひとつ別の世界があるかどうか」 です。作家がストーリーを考える、と言いますが、そばにいると「考える」というより「トリップして、観察して、ドキュメンタリーを撮ってきている」感じなのです。

●時代
・「どちらの欲望のほうが、より本質的なのか」を見極めると、どちらが残るかがわかります。
・人々の物欲が減る中で、どうすると心が満たせるのか? ぼくは「共感」がキーワードだと考えます。「背景にあるストーリーに共感するからモノが欲しい」という時代 になってきた。
・「ほぼ日」では、「なぜこの商品を作らないといけないのか」「どんな人が作っているのか」「どんな思いで作っているのか」ということを何日もかけて、おもしろい記事にしています。商品に興味がなくても、その記事だけで十分楽しい。
・この「自分ごととして思わなければ人は動かない」というのも、実は今の時代の特徴です。「共感」「自分ごと」は、これからの重要なキーワードだと考えます。
・グリー社長の田中良和さんが「ソーシャルゲームは、コース料理のゲームが、アラカルトのゲームに変わったんだよ」と教えてくれたことが、このことを深く考えるきっかけでした。
・おもしろさというのは〈親近感 × 質の絶対値〉の「面積」 だったのです。
・これからのコンテンツビジネスは、「いかに親近感を持ってもらうか」 が課題になってきます。どれだけファンと接点を持つかが大切になってくるのです。

●勉強
・取材先の先生の指摘は興味深いものでした。 ただ単に計算が遅くて問題を解ききれなくなっただけなのに、難しくて自分には解けないのだと思い込んで、数学を嫌いになってしまう、 というのです。
・「英語ができない」という人のほとんどは、単語を覚えていないところに原因があります。

●個性
・人は、「自分の個性が何なのか」「強みが何なのか」ということを、自分では見つけられません。 真似るという行為は、他人になろうということではなく、他人との比較によって、自分の個性と強みを見つけようとすること なのです。
・自分が「おもしろい」と思うことは、自分にとって新鮮なだけなのです。自分がおもしろいと思っても、世間には「よくわからない」と思われて終わりです。それよりも、自分では飽きていておもしろくないと思っていること。そういうことは、自分の中で何度も考えられ、熟成されたことなので、世間にとっては発見であることが多いのです。

●誠実さ
・しかし、 他人と率直なコミュニケーションをせずに、自分の心の中でも率直なコミュニケーションが取れなくなることこそが一番の「リスク」 です。
・自分にウソをつかないことのメリットはもう一つあります。「記憶のコスト」が低くなるということです。 その場の空気で調子を合わせていると、「自分がどこで何を言ったか」を記憶しておかなければいけません。
・「正直に伝える」とは、「思ったことを感情にまかせて好きなように言っていい」ということではありません。
・だから、「ぼくは楽しめなかったけれど、描いていて、どこが一番ワクワクしたのですか?」 と質問します。

●ほか
・ぼくの経験からすると、どんなことでも3年で芽が出始めて、最低5年間は続けなければ成果はなかなか出ないものです。
・とにかく 自分の感覚を信頼しないで、客観視させてくれるデータや、アドバイスをくれる人がそばにいてくれることが重要 なのです。