作者は医師。
上咽頭の炎症治療があらゆる不調に効くメカニズムと、現場での経験を書いている。
上咽頭には自律神経に関わる神経が沢山あり、炎症が起こると自律神経に影響するという。
病院の治療は上咽頭を擦って出血させる方法でEATと呼ばれる。これを行うと頭痛には即効性があり、他は症状によって10回以上、30回以上など、症状によって効果の出方が異なる。とりあえず10回通うことをオススメしている。病院の治療である程度よくなれば、後は鼻うがいなど自分でケアできるとか。
Amazonのレビューに実際に治療した人の声が載っているので参考にするとよいと思う。(鼻が悪い自覚がなくても治療で不調が治った人もいるらしい)
本に記載されていた「改善が期待できる症状」
●上咽頭の炎症が関連する局所症状
・咳喘息・後鼻漏・のど痛・のどの違和感・頭痛・耳詰まり・鼻詰まり・慢性的な痰・肩こり・首こり
●神経内分泌系の病気
・めまい・不眠症・起立性調節障害・慢性疲労症候群・過敏性腸症候群・機能性ディスペプシア・脱力・過換気症候群・羞明(光が眩しい)・無気力・鬱・認知機能障害・生理不順・線維筋痛症・不随意運動・むずむず脚症候群
●自己免疫系の病気
・IgA腎症・ネフローゼ症候群・掌蹠膿疱症・乾癬・アトピー性皮膚炎・慢性じんましん・反応性関節炎・関節リウマチ・炎症性腸疾患
メモ:
・なぜ、上咽頭の炎症を治すと、自律神経の調節異常が改善するのでしょうか? それは、上咽頭は、自律神経のうちの副交感神経の主体をなす迷走神経が広く分布しており、自律神経のコントロールに密接に関わっているから
・また、上咽頭はストレスに弱く、強いストレスを受けるととたんに炎症が悪化します。そして、上咽頭の炎症が常態化すると、自律神経のバランスがくずれ、さらにストレスに対して弱くなるという悪循環を起こすの
・おそらく、現在でも九割以上の医師は「慢性上咽頭炎」の概念を知りません。 なぜならば、現在の医学書に「慢性上咽頭炎」の記載がないから
・上咽頭の炎症を悪化させるきっかけは、カゼやインフルエンザなど、細菌やウイルスの侵入だけでなく、ストレスや寒冷、ほこりなどのほんの小さなことも引き金となり
・台風や低気圧が近づくと、 頭痛や肩こり、だるさやめまいなどの体調不良を引き起こす原因不明の「気象病」も、実は慢性上咽頭炎が関連していると私は考えてい
・上咽頭に炎症が起こると、上咽頭の細い静脈がうっ血し、毛細リンパ管は拡張します。このため、リンパ液の流れが悪化して組織内にたまった過剰な液体や老廃物を排出することができなくなり、その結果、上咽頭の粘膜下にたまった 血漿 が粘膜の表面へと漏れ出し、これらの分泌物が後鼻漏となってのどから流れ出すと考えられてい
・つまり、副交感神経系に二系統あり、交感神経系と合わせると合計三系統の神経系により、自律神経がコントロールされているということになり
・上咽頭はストレスに弱く、過労や心労などの強いストレスがかかると、上咽頭の炎症が急激に悪化し、体に不調をきたし
・上 咽頭 擦過 療法(以下、 EAT)なのです。 この治療法が、自律神経調節障害、慢性疲労、うつなどの脳のトラブルが原因の体調不良に対する服薬によらない治療として、新たな突破口になる可能性があると私は考えてい
・後鼻漏が脳の機能や自律神経系の異常によるものではなく、原因は上咽頭粘膜そのものの異常で、粘膜上皮がEATで剥がれて再生するというプロセスを何度かくり返さないと改善しないからなのではないかと考えられ
・つまり進化論的には、 最古が背側迷走神経系、次に交感神経系、そして最新が腹側迷走神経系(社会神経系)の発達の順
・腹側迷走神経系がオフになると、そのリズミカルなバランスが崩れて、高覚醒の交感神経過剰状態や低覚醒の背側迷走神経がオンになったりする状態が突発的に乱れて生じるようなります。この状態がまさに「自律神経失調症」なの
・つまり脳の清掃は夜寝ている間に行われることになります。そのため、睡眠不足だと脳の清掃が行われないために老廃物が脳にたまり、体調不良の原因となるわけ
・そして、EATによる瀉血で上咽頭のうっ血状態が改善されると、この部位のリンパ管の滞りが解除されリンパ流が改善し、脳の老廃物が下水道を通ってスムーズに排出されるようになり、脳細胞の機能回復につながると考えられるの
・鼻うがいの洗浄液は、水ではなく生理食塩水を用います。水は浸透圧が低いため、ツンとした痛みや刺激をもたらします。一日一〜二回の鼻うがいを習慣づけるといいでしょ
・首が冷えてうっ血すると、上咽頭の炎症を招きます。ふだんから首の大きく開いた服装は避け、ストールなどを活用して首を冷やさないよう心がけましょ
・夏の暑い時期に首を冷やすタイプの湿布やグッズは、一時的には熱を冷まして気持ちよく感じても、体調不良の原因を作り
・笑顔になることは、腹側迷走神経系を刺激し
・「笑顔」を作る→表情筋が動く→情報が大脳辺縁系の扁桃体を刺激する→楽しいという感情がわくというアプローチ
・肩こり、上背部の重苦しさは、腹側迷走神経系の働きが低下しているサイン
・その 脳の機能異常と関連が深い病態が「慢性上咽頭炎」で、これをEATで治療することで脳の機能異常が改善され、その結果としてFSSの症状が改善する というわけなの
・診療して強い慢性上咽頭炎があれば、EATは痛み以外の副作用がほとんどない治療ですから、すぐに効果が現れなくとも、まずは一〇回EATを続けることをすすめてい
・まだ数の限られた経験ではありますが、不登校の子どもたちにとってEATが福音になる場合が少なくないのでは、と感じてい
・EATを行っていると国語、英語、社会科などの記憶が重視される教科の成績が向上して喜ばれるケースがあり
・なかでも自律神経失調症と診断されている患者さんには、とくに高率で激しい慢性上咽頭炎が認められまし
・など多くの自己免疫疾患の患者さんにも同様に、上咽頭に激しい炎症が認められ
・これらの自己免疫疾患は、カゼをきっかけに悪化する病気として知られて
・ところが、二〇一九年に岡山大学の神谷厚範教授らのグループが自律神経とがんに関する画期的な研究を医学雑誌の「Nature Neuroscience」に報告しました。自律神経が乳がん組織内に入り込み、がんの増大や転移に強い影響を及ぼすことを発見し、自律神経を操作してがんを抑制するような新しい治療の可能性を示したの