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ヒトは「いじめ」をやめられない

テレビでよく見かける脳科学者の作者。
テレビでのイメージ通り、いじめについて科学的に淡々と解説があり面白い。

やめられないのは日本人が歴史的に遺伝子が変化してきたせいだとか。
いじめは集団があれば常に起こるし、誰でも加害者になりうると言っている。

いじめが起こりやすい状況と対処法の提案も書いてある。

面白かった。

 

 

メモ:

・仲の良い集団ほど、いじめが起こりやすいというジレンマです。

・対立グループがどうしても協力しないと達成できない目標、グループの壁を越えて進むべきゴールを設定し、それに向かわせるほうが、関係解決に有効な場合もあるということです。

・いじめの始まりは、「間違っている人を正す」という気持ちから発生します。

・もしかしたらいじめを傍観している人や、担任の先生の中には、いじめられる側にも理由があると感じる方がいるのではないでしょうか?  それは、その人の中にも、裏切り者検出モジュールが存在し、オーバーサンクションの機能が発動してしまっているからかもしれません。  もともとセロトニントランスポーターS型が多い日本人です。

・誰であっても、システムと状況次第で悪魔になりうる、そして正義という一種の脳内麻薬の中毒になってしまうということがわかります。

●時期
・いじめが発生しやすい時期は、5~6月や 10 ~ 11 月だと言われます。
・5月から6月、 10 月から 11 月というのは、日照時間が変わる時期にあたるので、セロトニンの合成がうまくできず、分泌量も減り、その結果、不安が強まり、〝うつ状態〟を経験する人が散見される季節なのです。
・学校では、5~6月や 10 ~ 11 月は、運動会など大きな行事が終わった直後です。運動会や学芸会は、集団行動が多く団結が求められる行事です。  そこでは、オキシトシンが高まり、ルールに従わない人や、みんなと違う動きをする人、クラスの役に立たない人が目立ちやすくなる状況を作ってしまいます。
・この時期に標的になってしまうと、いじめは過激化しやすいため、
・こうした時期に人間関係のトラブルを避けるためには、ちょっと不思議な言い方に聞こえると思いますが、仲間意識を不必要に高めすぎないという方法も有効なのです。  仲間意識を高めないためには、例えば、クラスの人間関係が入れ替わるようなイベントをするなど、集団が固定化し、関係が濃密になりすぎない工夫を取り入れるとよいでしょう。  

●男性
・こうした理由から、男性グループでのいじめは力による〝パワハラ〟となり、女性のいじめは、みんなによる〝村八分〟となりやすいのかもしれません。
・妬みという感情の性質から、男性のほうが妬みを感じやすいと言えます。  なぜなら、男性のほうが〝社会的報酬〟を感じやすい生き物だからです。

●傍観
・日本では、沈黙は金、というように、仲裁する人よりも、傍観した人が最も得をしやすい社会なのです。
・日本でいじめが激化しやすい要因の一つは、同調圧力という向社会性です。先生すらも傍観者にさせてしまう同調圧力の強さが示唆されます。

●対象にならない為に
・できるだけ妬み感情を抱かせないようにするためには、類似性と獲得可能性を下げる工夫が有効です。  類似性を下げる方法の一つは、単純ではありますが、服装などの外見や言動などにおいて、「若さ」や「女性らしさ」を前面に出さないことがポイントになるでしょう。
・次に、獲得可能性を下げるための方法です。これは「あの人には敵わない」と思わせることが最も効果的です。   自分はこの仕事や分野に関してはプロフェッショナルである、ということを見せる演出を心がけましょう。
・「自分は完璧な人間ではありません」ということをアピールする、わかりやすい自分の〝負の部分〟を相手にさらけ出すのも効果があります。

●女性
・「『誠意』とは何だと思いますか?」という質問をしました。すると、男性は、「正直」と回答した人が 28・4% で最も多く、女性の場合は「話を聞く」と回答した人が 25・2% で最も多いという結果になりました。
・女性に対しては、話を最後まで聞き、クレームの背景にある不安な気持ちに「共感」することが有効です。

●総括
・子どもの脳は発達段階で、抑制が利きません。限度を知らないので、いくらいじめるなと言っても行動を止めることはほとんど不可能でしょう。
・最も有効な方法は「攻撃の手が伸びないところまで逃げ切る」「親に報告する」という方法なのでしょうが、真面目な子どもほど、逃げてはいけないと思ってしまったり、保護者に心配をかけたくないと思ってしまったりして、事態は潜在化してしまいます。   
・攻撃したい人の衝動を「どうにか抑制できる」とは、思わないほうがよいでしょう。
・いずれにせよ、休学する、転校するなど、いじめの加害者から空間的・時間的距離をおくことは、子どもの性格や状態に合わせる必要がありますが、回避策としては十分に、そして早急に検討すべき方法であると思います。
・大学でいじめが深刻化しないのは、たとえ悪口を言う人や、無視をする人がいても、人間関係の流動性が高いため他の人と付き合えばよいからです。
・人は誰にも見られていないとか、自分が特定されないという条件がある場合、倫理的に正しくないことをする確率が高くなります。(→校内に大人を入れる提案につづく)
・いじめの対応策を考える上では、いじめは常にある。人の集まるところでは、必ず起こりうるという意識を持つことが大切です。