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本とマンガの読書感想ブログ

「節税」の超・裏ワザ 元国税調査官が捨て身の覚悟で教える

作者は元国税調査官。大学院修了後に文科省へ入省し、その後、民間勤務を経て国税局へ。今は税金関係のYouTuberをしている。

内容は、「税務調査の注意・税務署員から見た経費・暗号資産・サラリーマンの副業」について。

法人と個人事業主、サラリーマンの副業など、対象も内容も幅広いので、浅く広く知りたい人向け。

 

タイトルを見ると衝撃的な内容に思うが(元調査官が書いたという意味では衝撃だけど)、内容はまっとうでマイルド。衝撃的な内容を求めると肩透かしをくらうけど、税務調査と節税の全体像を知りたい人にはいいと思う。

 

個人的には、元調査官のリアルなラインと実態を知れて面白かった。法人と個人事業主で経費の認められ方に違いがあるのも参考になった。

 

この本がオススメな人は、
税務調査の部分は「真面目な人・交渉や営業が苦手な人」にいいんじゃないかと思う。経費はグレーゾーンが9割ということで、税務署員とのやり取りのポイントが書いてあり参考になる。

あとは、節税や税務調査についてあまり詳しくない人は、全体像を知るという意味でオススメ。ネットや本にいろいろな情報があるけど、実際はどうなの?と感じるので、そのへんのラインを掴めるのがいいと思う。

 

作者のYouTubeに本の内容もあるので、まずは動画を見るといいかも。私は動画を全部見るのが面倒で本を買っちゃったけど…(電子書籍で891円)。

↓作者のYouTube

www.youtube.com

Amazonに目次があまり載ってなかったので、詳しい目次。これを見ると内容のイメージが掴めるのでは。

 

本の目次:

序章 税務調査は「グレーゾーン」が9割
・元税務署員が明かす、知られざる現場のウラ側
・「税務調査」の実態
・「追及する」か「見逃す」かは、税務署員次第
・税務署員の”弱み”を逆手に取れ!
・元税務署員が教える最強の節税術

第1章 最強の節税術は、税務署員を”知る”ことから始まる
・納税者は何を見られ、何を狙われているのか?
・税務署員には「ノルマ」がある
・税務署員の意外な「ホンネ」
・納税者を惑わす「ウソ」と「脅し」のテクニック
・「手ぶら」で帰れないから「重加算税」を狙う
・絶対に「冤罪の誘い」に乗ってはいけない
・「事前通知アリ」「事前通知ナシ」で何が違う?
・税務署に続々と送られてくる「タレコミ」
・税務署員がチェックしているのはこの5つ!
・なぜ、「個人事業主」の調査に”甘い”のか?
・「名刺の肩書」から、これだけのことがわかる!

第2章 e-Tax、電子帳簿、持続科給付金ーーー、「新制度」のグレーゾーンはどこか?
・デジタル化で何が変わる?
・「持続科給付金詐欺」が発生した理由
・「詐欺」の摘発と税務調査は無関係
・「不正発見のため」の税務調査はやらない
・不景気だと、「売上げが伸びているところ」を狙い撃ち
・「マイナンバー」によって起きた変化
税制改正で埋まれた「e-Tax」の新しいメリット
国税庁の中枢「国税総合管理システム」とは何か

第3章 「経費」が落とせるかどうかは「この準備で決まる
・元税務署員の超・節税術1
・まずは、節税の「目的」を明確に
・会計処理による節税とは?
・節税の基本は経費の積み上げ
・「経費」の定義
・「経費」が落ちるかどうかは「ストーリー」次第
・じつは個人事業主の「経費」は法人より落としにくい
・「宛名」はなくてもよい?
・税務署員は「細かい領収書」を見ない
・領収書の保存はアバウトでOK

第4章 「経費」のストーリーはこうつくれ!
・元税務署員の超・節税術2
・「自宅兼仕事場」の家賃なら8割落とせる
・仕事用の事務所を借りながら、自宅の家賃を経費に
・10万円以上のパソコンを「消耗品費」で落とす方法
個人事業主でもパソコン代の8割を経費にできる
・「消耗品費」で洋服代も落とせる
・飲食代は「接待交際費」で落とす
・社会通念上、キャバクラ代も経費にできる
・「視察」にすれば、旅行がたちまち「出張」になる
・「家族旅行」は金額に気を付ける
・「非常勤役員」を活用して愛人への手当を支払う
・「雑費」が大きすぎると申告書の印象が悪くなる

第5章 「副業」で余計な税金を払わないようにするノウハウ
・副業のグレーゾーンを正しく知るべし
・「暗号資産」で落とせる経費
・「暗号資産」の税金の不払いは脱税になる
・売上1000万円以下なら「副業」の所得もスルーされる?
・自分の所得が当てはまる科目を確認する
・「赤字副業」で給料の税金を還付する!?
・裁判所は副業を「事業所得」にすることを認めない
・ひっそりと「赤字副業」ブームが再来か
・副業は経費で節税するのが基本
・「不動産所得」の赤字で合法的に給料の税金が戻る
・暗号資産の黒字は不動産投資で相殺が可能
・「ウーバージャパン報道」のウラに潜む国税局の思惑
・「転売」や「せどり」の確定申告の必要性
・売上げデータは完全に税務署が把握している
・いつのまにか消費税の「課税業者」になっている
・「副業」を始める人が陥りやすい落とし穴
・本能に逆らうな!
・「副業」で自己実現すれば節税もできる!

第6章 税務は激変の時代に突入する
・変わりゆく節税ノウハウと税務調査
・古くて新しい「経費バランス」問題
・税務署が注目するのは過去との比較
・「クラウド型」会計ソフトを使えば税理士は不要?
・”一人申告”は可能
・「税理士契約がない会社」の税務調査は時期が決まっている
・節税より効果抜群!? 社会保険料の節約
役員報酬の引き下げだけで100万円以上削減できる
役員報酬の変更はルールに戻づかないと経費にできない
・コロナ禍で役員報酬の減額はしやすい環境に
社会保険料の節約は計画的に行うべし
・役員賞与の上限を活用して社会保険料を節約する
・給与から賞与に変更するだけで大きな効果
個人事業主は「マイクロ法人」の設立で節約できる
・「マイクロ法人」で妻の年金保険料も節約!
厚生労働省はノータッチ?

 

 

メモ(主に個人事業主の部分をメモ):

●税務調査
・このグレーゾーンを巡って、税務署員と納税者の駆け引き、交渉が行われる
・税務調査の対象の9割は、グレーに属するといっていいでしょ
・ところが、 税務調査には実質的なノルマがたしかに存在している
・したがって、 税務署員は件数をこなすとともに、納税額を上積みするというノルマが課せられる ことになり
・2000万円の単純な経理ミスを指摘して修正申告してもらうよりも、200万円の所得隠しを指摘して重加算税にするほうが評価される、といった具合
・いったん重加算税を課されると、その年以降、税務調査に入られやすくなり
・翌年の人事異動は、前年の実績で決まるので、 7月から 12 月までの調査は、税務署員たちの気合が入っていると思って
・したがって、1月から6月の調査ならば、納税者の言い分もかなり聞いてくれるでしょ
・自前で申告をしている個人事業主や会社に入る時期、というものがあります。それは2月から3月にかけて
・けどね……」と、査察をちらつかせます。前述のように、事前に査察が来るなんて教えるワケはないのですが、効果は絶大
・経験の浅い事務官の場合、経験を積ませるためのトレーニングの意味合いもあるので、厳しく追及される可能性は低くなり
・赤字の会社も増えてくる中、利益が伸びているとなると、税務署員の目が向きやすくなり
・もともと、税務調査が入るのは、年間で法人の約3%、個人事業主の約1%にしかすぎませ

個人事業主
・税務署によっても多少の違いはあるので、あくまで目安として考えていただきたいのですが、 年間売上高が1000万円以下の個人事業主は、まず税務調査の対象にならない でしょ
・もし、個人事業主で、税務調査に入られ、修正申告を迫られたときは、トータルで増える負担額を聞いてみてください。それで譲歩してくれる可能性もあり

●情報
マイナンバーに関係なく、銀行口座のお金は、すべて税務署が把握していると思って
国税庁は国内の暗号資産の取引所のデータをすべて入手可能です。大きな利益が出ている取引は、簡単に抽出することができる
・2021年度から、国税庁は税務調査の対象企業の選定にAIを導入する方針

●領収書・仕訳
・宛名が特定されていない「上様」の領収書やレシートなどで代用できるのは、代金が少額の場合に限られると考えておいたほうがよいでしょう。スーパーのレシート程度なら、領収書の代わりに十分なると思い
・したがって、整理された領収書は、税務署員にヤル気を起こさせるとともに、効率よく、引っ掛かりそうな領収書を見つける〝手助け〟をしているわけ
・①金額が比較的大きい領収書(少なくとも万単位以上) ②飲み屋、スナック、キャバクラなどの領収書 ③観光とおぼしき旅行関係の領収書
・法人の場合、接待交際費に関しては〝ゆるい〟ので、同席した相手は、仕事に直接関わりのある取引先でなくてもかまいませ
個人事業主の場合は、仕事に直接関係する相手でないと、否認される可能性が高く
・税務署が注目しているのは、過去との比較です。その会社の過去の数字と比較して、旅費交通費や接待交際費が大きく膨らんでいれば、「ちょっと調べてみようかな」という気になり
・雑費は経費全体の1割程度に抑えておいたほうが無難 といえるでしょ

●副業
・生活費のほとんどが給料で賄われているようなサラリーマンで、平日のスキ間の時間や、会社が休みの日だけを充てているような仕事であれば、「それは事業ではなく、たんなる副業と見なされる」というのが裁判所の判断
・税務署は、給与所得者が事業所得を赤字にしている確定申告に対しては、厳しい目を向けて
・雑所得の黒字は、他の所得の赤字と損益通算ができる
・副業をしている人に税務調査があまり入らないのは、本書で繰り返し述べているように、 売上げや収入の規模が小さいから
・しかし、スルーされているからといって、税務署に副業の所得がバレてないと思うのは早計。税務署は、個人の副業の売上げのデータを完全に把握してい
・売上げが1000万円を超えてしまうと、消費税の「免税業者」から「課税業者」に変わってしまう