作者は早稲田卒の筋トレで有名なボディビルダー。
この本はシリーズ4冊目で、「炭水化物」「タンパク質 前後編」につづく本。筋トレでの「脂肪酸とケトン体」の役割や注意を書いている。筋トレしてる人向けだけど食品の勉強をしている人にもよいかも。
かなり専門的なのでよほど好きじゃないとしんどい。とはいえ、全部理解しようとせず化学物質の役割をふんわり理解する感じで読めば、それなりに楽しく読める。
私は大学で似たような内容を勉強してたので、習った事のある内容や化学用語に覚えがあるけど、それでもちゃんと読もうと思うとしんどいかな…。でも内容は面白かった。
面白かった部分。
近年流行りのオメガ3系の油は、リノール酸(オメガ6系)を大量摂取しているとαリノレン酸(亜麻仁油やえごま油)をEPAに変換する酵素が競合するので変換されにくいとか。EPAはEPAでとるのが大事らしい。
また、少し前に流行った糖質制限については、中途半端な糖質制限は筋肉を分解するとか。糖質を制限する場合は必ず脂肪を摂ることといっている。
以前読んだ炭水化物編。
メモ:(筋肉関係はあまりメモってない)
●脂肪
・ちなみに「体脂肪」には脂肪だけでなく水分なども含まれます。ですから純粋な脂肪 が1 グラムあたり 9kcal なのに対して、体脂肪 は1 グラムあたり 7.2kcal
・細胞膜など、体内の重要な構成物質の材料とエネルギー源とホルモンの材料
・ホルモンレベルの適正化を考えると、だいたい総摂取カロリー の3 割ほどは、脂肪から摂取するようにしたいところ
・しかし炭水化物を多く摂取しても、やはり体脂肪になってしまい
●代謝
・小腸の細胞から吸収されます。そして、細胞の中でまた脂肪酸とグリセロールは結合し、さらにタンパク質も結合することによって、「カイロミクロン」という大きな複合体 をつくっていき
・カイロミクロンはリンパ管を通って左鎖骨にある静脈から出て心臓に行き、それから全身をめぐっていき
●エイコサノイド
・微妙にカラダの状態を正常に保とうとする経路も存在します。それが「 エイコサノイド」という局部的に働くホルモン様物質 の作用
・エイコサノイドを作るために必要な脂肪酸を、「必須脂肪酸」と呼び
●EPA
・リノール酸からγリノレン酸ができるときには、 Δ6 不飽和化酵素が必要となります。そしてαリノレン酸から EPA ができるときにも、同じ Δ6 不飽和化酵素が必要となります。 亜麻仁油やエゴマ油はαリノレン酸を含むため、身体に良いと言わています。しかしリノール酸を大量に摂取している生活だと、 Δ6 不飽和化酵素の奪い合い になってしまい、それぞれの変換が上手くいかない可能性があることは知っておいたほうがいいでしょう。つまり EPAは EPA として摂取し、αリノレン酸に期待しないほうが良い ということ
・EPA はレゾルビン、 DHA がプロテクチンといった内因性の抗炎症物質を生成することが判明 しており、抗炎症作用の他にも病的な血管新生の抑制や好中球の浸潤抑制、神経細胞の保護作用やアルツハイマー患者の脳内における PD 1 産生量減少などの作用が知られ
・EPA はタンパク分解を防ぐだけでなく、タンパク合成を高める作用も期待でき
・なおオメガ3 脂肪酸は睾丸のサイズを増やして精子の質を高め、テストステロンを増やすのに対し、オメガ6 脂肪酸とトランス脂肪酸はテストステロンを減らしたり、精子の質や量を悪くしたりといった報告もあり
・様々なメリットのある EPAや DHA ですが、実際に摂取するときは、どのようにすれば良いのでしょうか。 ラットでの研究ですが、面白い報告があります。実は 毎日少しずつ摂取するよりも、週 に1 回だけまとめて摂取するほうが、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)が高かったとするもの
・体内に留まる割合として、毎日摂取した場合 は 15% 程度ですが、 週1 回だ と 23% が留まるという結果になったよう
・EPA だけでなく DHA にも効果があることを考えると、毎日摂取するサプリメントとして有効な量としては、一日に「 EPA + DHA」として 2000~2500mg 程度と考えられ
・この場合、イワシだったら毎日 100 g ずつ食べることになりますが、先ほどの結果を踏まえて考えると、もしかしたら 週1 回、 700 g を食べたほうが効果は高まるのかもしれませ
・魚油サプリメントの場合も、もしかしたら毎日 2000~2500mg 飲むのではなく、週 に1 回、まとめ て 15000mg くらい飲んだほうが良いという可能性もありそうです。人間での研究結果を待ちたいところ
・アラキドン酸の悪玉エイコサノイド生成に対するカウンターとして、 EPA はぜひ摂取するようにして
●油
・オリーブオイルとトウモロコシ油、大豆油、ヒマワリ油 の4 種類の油でジャガイモを揚げ、それ を 10 回繰り返した研究によれば、もっとも劣化が早かったのがヒマワリ油で、もっとも劣化が少なかったのがオリーブオイルだったそう
・残念ながらオリーブオイルには「ニセモノ」が多いようで、ラベルにはエキストラバージンと書いてあっても、 IOC(国際オリーブ協会)の基準を満たしていない割合が非常に高いよう
●ケトン体
・なお 赤血球はミトコンドリアがないため、糖質しかエネルギーとして使うことができません。 また前述のとおり、肝臓ではケトン体をエネルギーとして使うことができませ
・体液 の pH をコントロールできなくなるまでにケトン体が増えた状態を「ケトアシドーシス」と呼び
●アディポネクチン
・脂肪細胞から分泌される生理的に活性がある物質のことを、まとめて「アディポサイトカイン」と呼びます。 アディポサイトカインには作用として善玉的に働くものと悪玉的に働くものとがあり、 アディポネクチンは善玉アディポサイトカインの一種 となり
・なんと「実際に運動をし て ATP が減少しなくても、 AMPK さえ活性化すれば、体脂肪 は ATP の材料として使われるため、燃焼される」の
・そして「 AMPK はアディポネクチンによって、活性化される」
・このアディポネクチンですが、実は 低糖質ダイエットでは増加するものの、低脂肪ダイエットでは増加しなかった という報告があり
●糖質制限
・日本人の場合、一般的な食事内容における糖質のカロリー比は全体 の 60% 程度です。これを半分 の 30% にしたら、確かに低糖質(糖質制限)と言って良さそう
・日本で行われた研究では、一日 に 130 g 以下の糖質に制限したところ、カロリー制限群に比べ て HbA1 c と中性脂肪値が顕著に改善したとされています。
・海外における低糖質食の研究を見ると、大半がカロリー比にして糖質は全体 の 10~20% 以下となっています。 この場合、「ケトーシス」になり、糖質ではなくケトン体を主なエネルギー源としています。ここまで糖質を減らす場合、これは「ケトジェニックダイエット」とも呼ばれ
・緩い糖質制限の場合はケトン体が主なエネルギー源となっていません。その場合、 エネルギーを得るために糖新生が活発になり
・つまり 中途半端な糖質制限は、筋肉の分解が起こりやすい のです。 しかし ケトジェニックでしたら、ケトン体が主なエネルギー源となるため、糖新生が起こりにくくなり、筋肉の分解も抑えられ
・糖質摂取がゼロに近い場合、糖新生によって糖質ができる量は一日 に 80 g 程度です。(※ 83) ケトーシスになっていない場合、脳だけでも一日 に 120 g の糖質が必要となりますので、 中途半端に糖質を制限すると血糖値が低下し、エネルギー不足や空腹感に悩まされる こととなるでしょ
・糖質制限において、一番多い間違いが、「脂肪を摂取しない」こと
・脂肪が足りず、糖質も制限している場合、ケトーシスにならずに糖新生ばかりが活発になり
・ケトジェニックにする場合、 カロリー比として 60% は脂肪から摂取するようにします。 そしてタンパク質 が 30%、残り の 10% が糖質
・ただし脂肪の摂取については注意が必要です。少しだけ前に触れましたが、「小胞体ストレス」を避ける必要 がある
・これを避けるために有効なのが、オレイン酸 や EPA です。 パルミチン酸の細胞毒性はオレイン酸 や EPA の摂取により、阻害することができると報告されています。(※ 85, ※86) ケトジェニックで大量の脂肪を摂取する場合は、青魚やオリーブオイルをしっかり採り入れるようにしたいもの
・さらに夜にまとめて炭水化物を食べるようにしたところ、小分けに炭水化物を摂取した場合に比べて体重の減量幅が大きかったという研究もあり(※ 88)、また善玉コレステロールが高く、悪玉コレステロールが低くなり、炎症を示す指標( CRPや TNF-α、 IL-6 など)も低くなっていまし
・糖質を制限すると解糖系ではなく酸化的リン酸化による ATP が供給されるため、瞬発力系のパフォーマンスには悪影響がありそうです。いっぽうで持久力系のパフォーマンスは高まりそう
・なおケトジェニックではミネラルが喪われやすいため、ナトリウムカリウムの摂取に注意を払う必要があり
・糖質制限中はインスリンの分泌が少なくなるため、タンパク合成が起こりにくくなること