作者は、国立国語研究所の教授。
語彙を増やす考え方や、どの言葉を選ぶかについて書いている。
先日、接続詞の本を読んで面白かったので、こちらも購入した。
Amazonのレビューを見ると、私と同様に接続詞の本が面白くてこちらを買った人がいるが、評価は接続詞の本より良くない。
たしかに、接続詞の本よりインパクトは薄い。わりと想像のつく内容が多いからかもしれない。しかし、これはこれで、言葉に対する解像度が上がって、面白かった。
普段、文章を書くときに、言葉を思い出せないことがある。「この言葉の、かしこまった言い方ってなんだっけ?」「同じ言葉がつづくから、言葉を変えたいな」とか。毎回、「類語」「言い換え」などで検索して、ほかの言葉を探している。この作業は私にとって、どちらかというと苦行なのだが、この本を読んでから言葉を選ぶのが少し楽しくなった。どの言葉を選ぶとどんな印象になるんだろうという、つくりあげてる感じが楽しい。世界が少し広がった気がする。
メモ:
・対義語を考えると、その語が 多義語 であることに気づきやすくなり
・類義語を考えることは語彙量を増やすのに役立ちますが、それとあわせて対義語も見るようにすると、頭のなかの語彙世界に、奥行きが加わるように思い
・語彙を増やす方法の第三は、「上位語・下位語を考える」
・和語 だと身近なイメージ、 漢語 だと厳密なイメージ、外来語だと新奇なイメージが出せるので、便利
・人前で話すときの原稿を作る場合は、漢語を和語に置き換えるようにすると、聞き手に親切
・平仮名で書くと、易しく柔らかい印象が生まれます。片仮名で書くと、コミカルでくだけた印象が、漢字で書くと、まじめで堅い印象
・漢字というのは 表意力 が強いので、イメージを湧かせるのに向いてい
・「わかりやすい文章」の弱点をご存じでしょうか。表現が定型化されていてつまらなくなること
・語彙の質を高める方法の第二は、「重複と不足を解消する」
・一つの文のなかで同じ語を二回、しかも別の意味で使うと読み手は混乱しますので、避けたほうがよいでしょ
・迷い、悩み、ためらうなかから出てくる言葉こそが、真に力のあるものになる