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ジャニーズは努力が9割

ジャニーズは努力が9割(新潮新書)

ジャニーズは努力が9割(新潮新書)

 

ジャニーズが大好きなので購入。
想像と違いビジネス書的な切り口が面白かった。

 

作者はジャニーズ志望だった編集者。

本では16人のタレントを取り上げ、彼らの発言から仕事のスタンスを紹介。また、ジャニー喜多川の仕事と人物像を書いている。

 


ジャニーズ事務所はアイドル事務所だが、本業のアイドル業が向く者もいれば向かない者もいる。課せられた本業をこなしながら、他のやりたい仕事をやっていく様は、一般のサラリーマンと通ずるところがあり共感がある。


ジャニーズという同じジャンルでの比較なので、仕事のスタンスの違いが分かりやすい。色々なタイプがいるので、彼らの中に自分と似たタイプを見つけたり、こういう風に出来たらいいなと参考になるタイプがいたり、面白かった。

 


ジャニーさんの人物像も興味深い。

ジャニーズジュニアの選抜基準は人間性とやる気と言い切っている。
出来る出来ないじゃなく、詳細を知らされないまま「やる」と言った人にチャンスがもたらされている。(これって先日読んだホリエモンの「ハッタリの流儀」に通ずる)

演出は演者の発するエネルギーや普通じゃないものを重視したり、育成法は個性を見ながら道を示すなど…本質を突いていて面白かった。

 

 

 

 

メモ:

蜷川幸雄は、自分の劇団に所属する、まだ売れていない若手の舞台俳優たちにこう檄を飛ばします。 「なんでジャニーズの方が努力してんだよ! お前らより売れてる奴らがよ! 全然説得力ねえよ!」


中居正広
・そんな中居が、歌の代わりに注力したのが司会です。 「( 17 歳) 当時から『とにかくバラエティで、何番手でもいいからやりたい』と会社の人にすごく頼んでいた
・「事前にちゃんと準備ができないのは、怖い(* 12)」「バラエティ番組ではゲストの資料は頭に全部入れておきます(*7)」と語ります。
・撮影終了後に期間が空いてから行なわれるインタビュー用に、どんな質問が来ても答えられるように、撮影中から感じたことをメモしている、
・10 代の頃の半年間、月に6回、まわりに内緒で 50 万円近く払ってボイスレッスンに通っていたという中居。


木村拓哉
・〝木村拓哉って何でもできちゃうよね〟って言う人は多いけど、何でもできちゃうように、彼はがんばっているんですよね。木村拓哉はまさに〝努力〟の人(*2)」
・絶対、現場に台本は持ち込まないですし。どんなに長いシーンでも、彼が台本を見るってことはなかったですから。


長瀬智也
・「みんなができることは多分みんながやるから、僕がやってもしょうがないっていう思いは、ドラマでも歌番組に出る時でも、バラエティでも、心のどこかに絶対あると思います
・「良くも悪くも僕らの会社は、音楽に特化した会社じゃないから、それを知ってるスタッフがいるわけじゃないんです。ってことは、自分がまず先頭に立って、そのスタッフに指示しなくちゃいけないんですね(*5)」と語ります。

 

国分太一
・それなりの立場を得てからも、後輩肌で低姿勢。「バカだと思われてもいい」スタンスを貫く、下から目線の人で居続ける。
・国分自身も「心がけてるのは、周りの人たちがいつも笑っていられること(*6)」と語っています。
・「こいつバカだなって思われたほうが聞ける話もある。僕はこういうキャラってわかってもらうことが肝心(*1)」

 

岡田准一
・「芸能界に入り、『天才』と呼ばれる才能ある方々を間近で見てきました。自分は地味だから、若いうちから勉強しないと、と心に決めた(*7)」として勉強を始めます。
・10 代の頃「家帰ったら映画3本観て、本を1冊読んでみたいなノルマを決めて生活してた(*9)」と語ります。
・「馬を習い、格闘技を始め、自分が劣っている分を学んで補おうと、忙しいのに習い事ばかりして、自分にお金ばっかり使ってました(笑)。それが今、役立っていますし、これからも続けていきたいですね(*4)」

 

■井ノ原快彦
・「そんな暗かったら誰も話したくないよ(*2)」  入所した頃に、そうジャニー喜多川に怒られたという井ノ原快彦。
・「何も知らないので教えて下さい」というスタンス。「知らないことを恐れるのではなく、教えてくれる人が周りにいっぱいいる状況をつくることがコミュニケーションの近道(*9)」
・本気で褒めるために、女性に限らずですけど、その人にちゃんと興味を持って、いいところを探すようにしてます(* 11)」
・『否定』は、俺のやり方は正しいっていう自信から来ますよね。でも否定すると、相手から『いや違う』ってさらに否定が来てお互いに自信を失う。

 

堂本剛
・ソロ音楽プロジェクトを始動させる時には、自ら企画書を書き、事務所に対してプレゼンをしたのです。自分で企画書をプリントし、配って、事務所内でプレゼン。上層部から質疑応答を受け、リアルなお金の話など、条件を確認されたりもしたそうです。
・「たとえば世の中が〈これが平和だよね〉って言ってる空気が自分にとって気味が悪いと感じたら、そこからはぐれたほうがいい。世間からはぐれると〈あいつは頭がおかしい〉って非難されるし、孤独にもなるけど、でもそこにこそ自分の人生の色があると信じて旅立ったほうが、成長出来ると思う(* 17)」
堂本剛は、ジャニー喜多川が漏らした一言が印象に残っているといいます。 「僕が創造することを誰も分かってくれたことがない(* 12)」

 

堂本光一
・例えば、2ヶ月の上演期間中は、生活を毎日同じルーティーンにします。
・「アクシデントが起きたとき、毎日を同じに過ごしていれば、『あのせいだ』と逃げ道が作れないじゃないですか。それに、毎日同じことをやっていたほうが、その日の自分に何が足りなかったかも見えやすい
・「ファンサービスよりパフォーマンスで、お客さんの心をつかめるアーティストになりたい」
・いわく「〝今すべき、一番大事なこと〟に集中してやることを覚えた。そうしないと、結果的に何もできない(*2)」  さらに、周囲を否定してしまうのは、自分の小ささが原因だと反省もします。
・いつも『目標はありません』と答えてきた。それは、自分がやれることの、上限を決めたくないって気持ちが、あるからなんだと思う


櫻井翔
・学校行きゃ『ジャニーズみたいなことやってる奴』と言われ、ジャニーズへ行きゃ『 なのに学業優先って何だそれ』という目で見られ(*4)……」
・「僕のやりたいことは、むしろ嵐という立場でいたほうが実現性高いんですよね。(中略) 他の仕事に転向したらむしろ可能性が狭まっちゃうんじゃないかとすら思ってる。今の嵐でいる以上に、やれることがたくさんある世界なんてないんじゃないかなと(*8)」


大野智
・「みんなが義務教育で勉強してる中で、俺は勉強しないでひたすら絵を描いてただけの話なんだよ(笑)(*1)」
・好きか嫌いか』『興味あるかないか』じゃない? 絵を描きたいなら、描いてみて『あ……好きかな、興味あるかな』って思ったら続けるだろうし、『あんまり……』っていうなら、それは才能がないんじゃなくて、興味がないんだよ


滝沢秀明
滝沢秀明は、ジャニーズ事務所の歴史の中でも、類を見ないスーパーエリートです。
・当時のジャニーズ は約120人(*2)。ジャニー喜多川に指名され、滝沢は 16 歳の頃から、 全体を取りまとめる役割を担い始めます。
・その頃の滝沢は「取材だったり、生放送の歌番組だったり、その日、何をするのかわからない生活が、 14 歳からCDデビューする 20 歳くらいまで続きました(*2)」という日々。その期間で「自分でどこへでも行き、なんでもやり、その場でお題を出されて、全力を出すという対応力は鍛えられました(*2)」と振り返ります。
・滝沢が心がけているのは、たとえ相手が後輩であっても「一人一人に男として接してる(* 10)」と対等な関係でいること。「『


風間俊介
・「こんなヤツが一人くらいいてもいい」という自分への高い肯定感が根底にあるからこそ、自虐的な発言も痛くならないのです。


村上信五
・「歌もダンスも演技も、僕はいちばん才能がない(*3)」「周りには嵐とかタッキー&翼がいて、歌っても踊っても、オーラや華も全然違う(*2)」と、自分の立ち位置に悩みはじめます。周りの才能と自分を徹底的に比較した結果、「 にツッコミっておれへんな(*3)」と気付くのです。


亀梨和也
・高校受験を控えた頃には、母親の目の前でスタッフに「キミはほうきで掃けばいなくなる程度の なんだから」と言われ、辞めることを決意。そこでジャニーに「YOUはやんないとだめだよ」と引き止められます
・彼の仕事は、むやみに自己表現をしているのではなく、他者の求めるものに答えていくというスタンスの上に成り立っているのです。
・スポーツキャスターの仕事にしても「例えば選手が自分の取材だけを受けてくれたとしたら、その方を取材したがっていた他の記者のみなさん以上の熱量を持って向き合わなければいけない、と思うんです(* 17)」


■伊野尾慧
・「勉強してきたことが仕事につながるなんて当時は考えてもいなかったけど、途中で投げ出さないで、頑張って学生としてやってたんだよね。そういったことが、卒業して何年かたって〝建築学科卒〟っていうことで(中略) お仕事があったり、続けてきたことが実ったのかなって。何年後に実るか実らないかなんて誰にも分からないから、仕事につながらなくてもいいと思っていた。経験こそが楽しくて(*2)」


中島健人
・友達も多くなく、ネガティブシンキング。人間関係もうまく作れず「自分の居場所はここじゃないんだ」と悩んだ中学生の中島は、「世界を変える」「目の前の景色を自ら変えるぞ」という意識で、自ら応募し、ジャニーズの世界に飛び込みます

 


ジャニー喜多川

●人を見抜く
ジャニー喜多川が優れているのは、とにかくまずは〝人を見抜く目〟でしょう。

・「僕には 20 年後の顔が見えるんだよ(*2)」  将来の変化を、見通しているジャニー喜多川

ジャニー喜多川はジュニアの選抜基準を自身でこう語っています。 「踊りのうまい下手は関係ない。うまく踊れるなら、レッスンに出る必要がないでしょう。それよりも、人間性。やる気があって、人間的にすばらしければ、誰でもいいんです(*3)」

・こうしたジャニーの選抜基準と「経営の神様」と呼ばれるドラッカーの説く組織論は驚くほど一致するのです。

・こういう裏表のあるのはだめですよ、子どもだから特に。
・「人を見て、態度を変えるような子は駄目なんです。どこにいても子供は自然じゃなきゃいけない(*2)」

●やる気
・質問は「できない?」でしたが、確認したかったのは〝今、できるかどうか〟ではなく、〝やる気はあるか〟ということ。
・ジャニーの選抜基準はやる気。すなわち「できる/できない」ではなく「やるか/やらないか」だったのです。

●周囲
・ジャニーは「一番こわいのは、周りがちやほやしすぎること。(中略) スター扱いしてるだけのジェスチャーなんだよ。あんなの大嫌いなんだ(*4)」と語ります。人気が出ても、人間性が壊れないように意図するジャニー喜多川の配慮がうかがえます。

●タレントにより違う対応
堂本光一はその意図をこう分析します。 「事務所のタレントに対して、〝褒めて伸びる子・けなして伸びる子〟というのもはっきり見分けているような気がします(* 10)」

●楽しむこと
ジャニー喜多川がしない怒り方というのもあるようです。それが「仕事なんだからプロ意識を持ちなさい」というタイプの怒り方。これも光一の言葉を借りれば「〝仕事を仕事と思わせないこと〟がベースにあったような気がします」「仕事を楽しんでやれる環境を常に提供し、個性を決して殺さないよう、一人ひとりに種を蒔いていくイメージ(* 10)」

・「作り手側が楽しく作れば、観る方たちも楽しくなるんです(* 15)」

●自分で見出す
滝沢秀明は「それぞれの感性で学びなさいってスタンス」「〝ここがすごいんだよ〟って言ったら、みんなそこしか見なくなっちゃうから。そしたら、同じようにしか成長しないでしょ(*7)」と分析しています。

●無茶ぶり
ジャニー喜多川は、よくタレントたちに無茶ぶりとも言える仕事の与え方をします。1日数回公演のコンサート、開演直前での台詞や楽曲の変更は日常茶飯事です。

堂本光一は、そのジャニーの姿勢をこう分析します。 「どだい、まだ技術も経験値もない の子たちに『うまくやれ』と言っても無理なわけで。だったら代わりに若さでしか出せない猛烈なエネルギーを体験させたほうがいい。急な変更に対応するにはものすごい集中力と勢いが必要だから、するとそこに、若い子たちにしか出せないがむしゃらなエネルギーが生まれるのも事実。ジャニーさんの突飛な発言にはそういう意図もあるんだと思います(* 10)」

山下智久は実際にジャニーにこう言われたと振り返ります。 「ジャニーズ のころ、本番当日に突然、やる曲が変わったり、振り付けが変わったりすることがよくあって。こっちは、てんやわんやじゃないですか(笑)。でも、後々ジャニーさんが『何でそういうことするかと言ったら、必死になっている姿が魅力的だからだよ』って言っていたんですよ。
 

●顔
・「ジャニーズ顔なんてそんなものはないんです。よく美少年を集めたみたいに言われるけど、あれは磨かれていった結果なんです。僕は根本的にみんな誰もが美少年になり得ると思ってます(* 13)」

・「皆から見られるから、自然と顔も変わるし、生活も変わるはずなんです。でも、そうしたことは教えられることではないので、自覚するしかありません(*2)」

●自分で動く
・NEWSの手越祐也やKis-My-Ft2の北山宏光のように、事務所が用意したジュニアのレッスンとは別に、自分でボーカル・スクールやダンス・スクールを探して通っていた、という者もいるほどです(*

●普通じゃないもの
・ただ舞台演出の際には「簡単に理解されるようなものを作っちゃだめだ」「普通じゃないものを作りなさい」と助言するジャニー喜多川にとっては、それも本望なのかもしれません。