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西洋医が教える、本当は速効で治る漢方

西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)

西洋医が教える、本当は速効で治る漢方 (SB新書)

 

作者はサイエンス漢方を提唱する医師。

読むと漢方のイメージが覆る。面白かった!

漢方と西洋薬の違い、病気に対応する漢方が載っており勉強になる。

 

漢方というと長期摂取でゆるく効くイメージがあるが、それは歴史的に中国から漢方がなかなか手に入らない時代に、最低限の量で効果がでる処方ができたから。
日本で処方する3~5倍くらいの量を中国では処方しており、速効性を求める場合は大量に一気に投与すると効果が大きいと言っている。

 

速効性のしくみは漢方が
「免疫力を高め過剰な炎症を抑える」
「微小循環障害を改善」
「体内の水分をピンポイントで調整」
という西洋薬と異なる特徴をもっているから。

 

また、西洋薬と違い漢方は成分の種類が多い。
西洋薬だと一つの効果が効きすぎて関係ないところに悪影響がでることがあるが、漢方はバランスを取ってくれると言っている。

 

漢方が医療に使われにくい理由は、東洋思想を学ぶことが一つの関門になっており、科学的に理解したほうが実用的だということで作者は「サイエンス漢方」を提唱している。とはいえ、結局は東洋思想と同じ処方に行きつくと言っている。

 

 

病気の目次がAmazonになかったので書き出したが長い…

頭痛、花粉症、アレルギー性鼻炎、膝から下のむくみ、セキ止め、過敏性腸症候群(下痢型)、貧血、足腰の衰えによるふらつき、鼻涙管狭窄で涙が止まらない、打撲傷、筋肉痛、こむら返り、肩こり、便秘、食べすぎ、鼻血、いぼ痔、インフルエンザ、ノロウィルスによる激しい胃腸炎抗がん剤や首への放射線治療後の口腔粘膜炎、急性肺炎、心不全、急な動悸、
悪酔い、二日酔い、めまい、乗り物酔い、飛行機が降下する時の耳の痛み、子どもの嘔吐、脳浮腫、慢性硬膜下血種、ヘルペス脳炎乳腺炎、母乳のコントロール、首のリンパ節炎、顎関節症、中耳炎、眼精疲労、怒り、認知症
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、月経困難症、冷え性不妊症、多愁訴、うつ傾向、高齢者の生命力を引き上げる、睡眠パターンを改善し精神面の安定を図る、胃腸機能を高め免疫を向上させる、排尿障害、高血圧、慢性前立腺炎、長期入院による呼吸器感染症、夜間せん妄。

 

 

 

 

メモ:

●漢方について
漢方薬というのがもともと急性期の病気を標的として開発された「速効性」のある薬だということです。
漢方薬は「超多成分系薬剤」と考える
・サイエンス漢方処方ではもう1つ、急性期の病気に対して初期の段階で大量投与するのも大きなポイントとなります。
・日本の医療現場で処方されている漢方薬の量は、中国の3分の1から5分の1にすぎないのです。
・急性期の病気に使われる漢方薬の大半は、体の免疫反応を迅速に立ち上げる作用があります。
医療機関漢方薬が処方される比率が頭打ちとなっている背景には、こうした漢方医療を取り巻く閉鎖的な状況が大きく影響していると考えられます。

●西洋薬
・(西洋薬は)ウイルス性の感染症に対しては、一部のものを除いて特効薬が存在しません。

●炎症
・過剰な炎症を鎮め、障害された組織も修復
・西洋薬の中には、炎症を抑える抗炎症薬が2種類しかないことは1章でお話ししました。副腎皮質ホルモンというホルモン剤と、鎮痛剤のNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の2つです。  これらは炎症を抑える力は強いものの、全身に作用するので体にダメージを与えやすく、体の免疫力まで大幅に落としてしまいます。ですから、使用できるケースが限られます。
・医者であれば誰もが、炎症に対する治療が十分にできていないことに気づいています。
・病気が起こっている部位では、必ずといっていいほど炎症が起こっています。その火事を消すことも一緒にやらないと、治療したとはいえません。

●速効性
漢方薬の速効性を生み出す第二の柱として、微小循環をよくする作用が挙げられます。微小循環というのは、体の隅々まで延びている毛細血管の流れのことです。
漢方薬は、体の水分代謝のコントロールにも速効性を示します。 

アトピー
・また、アトピー性皮膚炎などで肌が乾燥しているような場合も、 荊芥 が含まれている漢方薬を服用すると、皮膚細胞に存在するアクアポリン「3」が開いて皮膚細胞に水が入り、肌が潤ってきます。
アトピー性皮膚炎の治療は難しいといわれますが、微小循環障害と水分代謝異常という観点から漢方薬を使って治療すると、わずか数日で軽快することもしばしばです。

●花粉症
・そこで、花粉症(軽度~中程度)とアレルギー性鼻炎の人が安心して服用できる漢方薬として、 小 青竜 湯 をおすすめします。
・しばらくしてまた鼻がムズムズしてきたら、すかさずもう一包飲みます。西洋薬のように一包目から何時間置いて飲まなければいけないといった決まりはありません。

●葛根湯
・葛根湯は一般にかぜ薬として知られていますが、実際には鼻炎の初期に限定して用いるのが最も適しています。
・「葛根湯」は胸から上に幅広く効果を発揮
・かぜに対して葛根湯はそれほど鋭い効果はありません。鼻炎の初期なら使えるという程度です。 「かぜに葛根湯」というよりも、胸から上に起こっている過剰な炎症をすべて抑えます。
・ただし、唯一、咽頭炎(のどの炎症)にはまったく反応しません。

エフェドリン
・小青竜湯にはエフェドリンという成分が入っていますので、葛根湯と同じように、高血圧症、不整脈狭心症心筋梗塞の既往のある人は、慎重を期して飲まない方がいいでしょう。
エフェドリンが含まれている漢方薬はほかにもありますが、必ず同じように代替の薬が用意されています。ここが漢方薬のスゴイところです。

●インフルエンザ
麻黄湯を服用すると、体内でインターフェロン(強力な抗ウイルス作用のあるたんぱく質)の産生が促されることが、実験で明らかになっています。  ですから、インフルエンザに罹患したあと、初期の段階で麻黄湯を積極的に使用すると、症状の悪化を抑えるのに役立ちます。ちなみに、インターフェロンの過剰分泌は体にダメージを与えますが、麻黄湯は体内でインターフェロンが過剰に分泌されたときは、それを抑える方向に働くことも確認されています。

●ほか
・皮膚科で治りにくいといわれている症状には、押しなべて微小循環障害が背景にあります。

・女性に効く漢方薬の代表が、加味逍遥散、 桂枝 茯苓 丸、 当帰 芍薬 散 の三つです。

過敏性腸症候群の下痢型の患者さんは、半夏瀉心湯がよく効きます。もともと腸に明らかな炎症などはないので、一包ずつ1日3回服用していると、2~3日後には普通便になり、トイレに容易に行けない状況に置かれても便意を感じなくなります。

・桂枝茯苓丸を1日三包ずつ飲んでいれば、いぼ痔そのものも治ります。

・じつは漢方薬の多くは、上半身だけに働くものと下半身だけに働くものに分かれます。

・本来は8時間おきに1日3回服用するのが理想です。そうした服用の仕方をすると血液中にいつも同じ量の漢方薬を維持できます。