読んだ備忘ログ

本とマンガの読書感想ブログ

これからの世界をつくる仲間たちへ

これからの世界をつくる仲間たちへ

これからの世界をつくる仲間たちへ

 

メディアアーティストであり筑波大准教授の作者。
テレビで何度か見て面白い人だなと思い購入。
内容も面白かった。

 

内容は、コンピューターと人工知能について、これからの世界で重要なことについて書いてある。

 

人工知能によって、単純に効率よく処理するだけの人は淘汰されると言っている。

たしかに新しいものが出てきたときは、それを手際よく扱えるだけでその人に価値があるけど、普及してくると何のためにそれを扱うかとか本質的なことになるので、そういう意味では普遍的なことを言っている気がする。

また、専門性の重要さを言っていて、自分の好きなことを見つめると内側だけになるので、外側で解決したいことを考えると好きなこと、やりたいこと、に繋がるというのはなるほど…と思った。好きな事=内側を考えがちなので。

そして、結局は人とのコミュニケーションなので、相手に興味を持ってもらえる話、説得できるロジカルさ、それを会得するには言語化していくことと言っている。

これも結局は専門性を習得する段階で細かく分析して言語化していくことになるので、割と普遍的なのかも。

とはいえ、玄人の部分と素人の感覚を合わせもつことの重要さを言っていたり、メディアアーティスととしての視点があって、単なる理系の人じゃないところが面白い。

専門性やクリエイティビティの重要性を言っているので、人に合わせて窮屈な思いをしてきた人には勇気が湧くんじゃないかと思う。

 

 

メモ:

 

・たしかに、優秀なビジネスマンになるためには、処理能力の高さと根回し能力が必要でしょう。でも、ホワイトカラーのビジネスマンの社会的寿命がコンピュータの台頭によって尽きようとしているときに、そのためのスキルを磨いても仕方ありません。

・多くの啓発書は相変わらずホワイトカラー教育を志向しています。

・コンピュータになくて人間にあるのは、「モチベーション」です。

・ホワイトカラーは何かを効率よく処理するための「歯車」です。そして、処理能力の高い「歯車」はいずれコンピュータに居場所を奪われてしまう。

・何でも水準以上にこなせるジェネラリストではなく、専門性を持つスペシャリストになることが必要です。

・僕がよく学生たちに言うのは、「その新しい価値がいまの世界にある価値を変えていく理由に、文脈がつくか」「それに対してどれくらい造詣が深いか」が大切だということです。

・しかし「自分が解決したいと思う小さな問題を探せ」と言われたら、どうでしょう。意識は外の世界に向かうはずです。そうやって探したときに、なぜか自分には気になって仕方がない問題があれば、それが「好きなこと」「やりたいこと」ではないでしょうか。

・「デジタル・ネイティヴ」は非デジタル社会との比較ができないので、問題発見の幅が狭くなってしまいがちです。

・もし小さい子供にそういう思考体力を身につけさせたいなら、周囲の大人がいろいろな問題について「言語化」を促すのが効果的でしょう。

・「楽しかった」という抽象的な感覚を言語化するために質問を重ね、ブレイクダウンしてあげるのです。

・これからの時代を生きていく人たちは、物事を深く考え、それを「言語化」する能力を身につけることが大事です。

・重要なのは語学力ではなく、相手が「こいつの話は聞く価値がある」と思えるだけの知性です。

・これからの時代、コミュニケーションで大事なのは、語学的な正しさではなく、「ロジックの正しさ」です。

・いまの時点でも、日本語のロジックさえしっかりしていれば、自動翻訳はかなり使えます。

・本物のクリエイティブ・クラスは、研究者であれ、起業家であれ、自分が理解できるまできちんと相手の話を聞きます。ちょっと聞いてその価値がわからなければ、自分から問いを発して話を掘り下げていく。自分の理解が間違っているのか、相手に価値がないのかを見極めるまで、会話をやめません。

・ここで大事なのは、自分にとっての幸せが何なのかをしっかり考えておくこと。なぜなら、いまの時代は、SNSなどを通じて他人の生活が可視化されやすいからです。

・重要なのは、「言語化する能力」「論理力」「思考体力」「世界 70 億人を相手にすること」「経済感覚」「世界は人間が回しているという意識」、そして「専門性」です。これらの武器を身につければ、「自分」という個人に価値が生まれるので、どこでも活躍の場を見つけることができます。   何より「専門性」は重要です。小さなことでもいいから、「自分にしかできないこと」は、その人材を欲するに十分な理由だからです。専門性を高めていけば、「魔法を使う側」になることができるはずです。

・世界に変化を生み出すような執念を持った人に共通する性質を僕は「独善的な利他性」だと思っています。それは、独善的=たとえ勘違いだったとしても、自分は正しいと信じていることを疑わず、利他性=それが他人のためになると信じてあらゆる努力を楽しんで行うことができる人だと思います。