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すべての疲労は脳が原因

すべての疲労は脳が原因 (集英社新書)

すべての疲労は脳が原因 (集英社新書)

 

若い頃、乳酸は疲労物質だと習った気がする…今は違うらしい(驚)

飽きてきた人に「集中しろ」は危険だったり、楽しくて没頭することは危険だったり、一般的な概念と正反対の情報が書いてあって面白かった。

目の疲労も脳の疲労だとか。

 

 

 

メモ(好きな所だけ抜粋、脳の機能についてもっと色々書いてあったけど):

●三大サイン

・「疲労」とは、医学的には、「痛み」「発熱」と並んで人間の生体アラームのひとつと考えられています。つまり、「これ以上、運動や仕事などの作業を続けると体に害が及びますよ」という警報です。

・うち、「飽きた」という感覚は、脳そのものが疲弊してきているという警告として注目する必要があります。

・「飽きる」「疲れる」「眠くなる」は脳疲労の3大サインと言われています。

・同じ神経細胞ばかり使っていると、その神経細胞は酸化ストレスにさらされ、「もうこれ以上、この神経細胞を使わないでくれ」という信号を発します。これが、「飽きる」という感情となって表れるのです。

・「飽きる」「疲れる」「眠くなる」は脳疲労のサインです。この3大サインを無視して作業を続けていると、次には「視野が狭くなる」という症状が現れることがわかっています。目でみて気づく、みつけることができる範囲を「周辺注意力視野」と呼びますが、この周辺注意力視野が狭くなってくるのです。

 

●疲労の主観と客観

・物理的な疲労の程度と、主観的な疲労感は一致しないことが多々あるのです。

・楽しく仕事しているときほど「疲労感なき疲労」が蓄積されやすく、休まずに仕事を続けることで疲労は脳と体を確実に蝕み、果てには過労死にいたらしめるのです。

・仕事も自動車の運転も、「飽きた」と感じる前に早めに休息をとると、「閾値」は低めの状態でキープされ、脳全体のパフォーマンスの低下を未然に防ぐことが可能だといえるのです。

 

●疲労は脳

・激しい運動時に起こる疲れは、運動で酷使しているはずの筋肉そのものの疲労ではなく、多くは脳疲労であること、その脳疲労は自律神経の疲労に起因していることが判明しています。  

・人の脳は視覚から90%近くの情報を得ているという点にあります。

・デスクワークで1日中パソコンやタブレット端末とにらめっこするのがルーティンになっている人も少なくないでしょう。すると頻繁に目の疲労感を覚えるはずですが、この疲労の原因も、目の細胞の損傷によるものではなく、自律神経の疲労です。

・目薬をさしたり、ホットタオルで目を温めたりすると「疲れ目」なら症状は改善するかもしれませんが、眼精疲労は解決しないため、しばらくするとまた目に疲れを感じます。デスクワーク中は頻繁に席を立って休憩をとり、遠くの景色を眺めるなどしてできるだけ交感神経と副交感神経のバランスをとる必要があるのです。

・集中力を高めるのは危険な行為  勉強や仕事で脳が疲労すると、「飽きる」というサインが最初に出る話をしましたが、その際に「集中力を高めなさい」というアドバイスをする人がいます。しかし、これは科学的に考えて間違ったアドバイスです。

・脳のパフォーマンスを高めるためには、脳疲労の観点から、飽きてきたらそれ以上集中しようとせずに、休息をとって別の作業を行うほうが効率的だといえます。

・疲れやストレスが長期化すると、脳からの指令で腎臓の隣にある副腎皮質という器官から「ステロイドホルモン」が分泌されます。

・この乳酸=疲労物質説は、近年の複数の研究によって「反証」され、誤りであることがわかりました。

・乳酸が疲労をもたらす犯人ではないとしたら、何が疲労の原因となるのでしょうか。それは脳内で神経細胞を攻撃している「活性酸素」です。

・本当は疲れているのに、これらドリンクの覚醒や高揚をもたらす成分が、疲労を隠すマスキング作用(第一章 達成感のある仕事が過労死をまねく)を発揮するからです。


●睡眠

・睡眠は驚くような疲労回復効果、パフォーマンス向上の力を秘めています。

・一般的には6時間睡眠で疲れが回復する人は疲労回復因子FRの反応性が高く、10時間寝ても疲れがとれない人は疲労回復因子FRの反応性が低いと考えられます。

・フラッシュバックするランダムな視覚情報を意味づけして、ストーリー化したのが夢だと考えられています。

・脳の疲労を回復させる徐波睡眠が現れるのは、一晩の眠りの最初の3分の1ほどです。人の体は睡眠の初期に脳の疲労回復を優先しているのです。それ以降は浅いレム睡眠が増えてきて、目覚める準備が整ってきます。

・良質な眠りこそが疲労回復にとってもっとも有効な方法だからです。

 

●栄養

・疲労を引き起こす原因となるのは、活性酸素による酸化ストレスです。イミダペプチドには酸化ストレスを軽減する抗酸化作用があり、そのことが疲労を軽減する効果をもたらすことが明らかになりました。

イミダペプチドと、ビタミンエースやポリフェノールなどほかの抗酸化成分とでは、酸化ストレスに対抗し続ける持続力がかなり違うことがわかっています。

・抗酸化成分の性質は多種多様ですが、1時間もすると効果がなくなるものが大半だと考えられています。ことにポリフェノールの多くは水に溶ける水溶性であり、体内に溜めることができません。

イミダペプチドアミノ酸に分解された状態で、摂取した分だけ脳内で活性酸素に対抗し続けることができるという際立った特徴があります。

クエン酸がとくに疲労回復効果を発揮するのは、食事などから栄養を十分にとらずに激しい運動をしているときです。

クエン酸単独では、疲労の元の活性酸素の攻撃から脳の神経細胞は守れない

・ビタミンCが欠乏するとタンパク質をいくらとっても、体内でコラーゲンが合成されにくくなります。すると、ウイルスが体内に侵入しやすくなるほか、タンパク質からできている皮膚や粘膜がもろくなって出血しやすくなり、重症化すると命を失う場合もあります。

 

●ゆらぎ

フィトンチッドには殺菌作用は確認されていますが、疲労を軽減する作用はみつかっていません。マイナスイオンは科学的にその癒し効果を実証する以前に、存在そのものがあいまいなのです。マイナスイオンという言葉は和製英語であり、日本以外の国々では研究の対象にもなっていません。

・一定の平均値から微妙にずれたある程度の「不規則な規則性」を持つ現象を、「ゆらぎ」と呼びます。「カオス」という言い方をする場合もあります。森は、もっとも「ゆらぎ」に満ちた空間環境なのです。

・なぜ、人は「ゆらぎ」を心地よいと感じるのでしょうか。  それは、自然環境に存在する人の生体もつねにゆらいでいるからです。自然環境の「ゆらぎ」と人体の「ゆらぎ」がシンクロすることが心地よさをもたらしていると考えられます。  自然界に一定な事象はありません。自然環境のあらゆる事象はつねに「ゆらぎ」を持っています。

・同じ空間でじっと同じ姿勢を続けている状況でも、適度に動いて空間や姿勢に「ゆらぎ」を加えることがいかに大切かということです。


●予防(睡眠・栄養以外)

・デスクワークのときは疲れを自覚する前に立ち上がり、トイレに行くなどして少しでも休憩をとってください。

・長時間のフライトでは1時間ごとぐらいに立ち上がり、トイレに行くなどして脚の血液を心臓へ還流させることを意識してください。

・「ゆらぎ」に満ちた温泉を疲労回復に役立てるには、38度~40度のぬるめの湯に10分以内を目安に半身浴をし、入浴回数も1日に多くて2回までにとどめておくことが肝要です。

・そこでゲームに夢中になる、DVDで真剣に映画をみたりすると感情がゆさぶられて興奮し、交感神経が優位になって自律神経が疲労します。犬や猫のように何もしないのがいちばんの疲労回復になるのです。

・何かひとつのことに集中するよりも、注意力を分散させるほうが脳疲労は軽減すると述べてきました。

・ワーキングメモリを強化することは脳疲労を予防する