読んだ備忘ログ

本とマンガの読書感想ブログ

科学的根拠に基づく最高の勉強法

作者は日本とアメリカの医師試験に合格した人。

エビデンスの引用をもとに効果のない勉強法と効果のある勉強法を紹介している。
前半が効果のある勉強法で、後半が記憶術やモチベーションについて。後半は見た事のある内容がチラホラ。

また、勉強初期には有効でないが中期以降の勉強で有効なものなども根拠が明示されていて参考になる。

 

面白かったのは、「好みの学習スタイルに合わせることは効果が高くない」と言っていたこと。効果があると感じたものが長期的にはそれほどでもなかったり、効果を感じにくいものでも長期的に効果があったり、根拠に基づいて説明されていて面白かった。

 

<目次より抜粋>

科学的に効果が高くない勉強法
・再読
・ノートに書き写す・まとめる
・ハイライトや下線を引く
・好みの学習スタイルに合わせる

科学的に効果が高い勉強法
・アクティブリコール
・分散学習
・精緻質問と自己説明
・インターリービング

覚えにくいものの記憶術
・イメージ変換法
・ストーリー法
・場所法

心身と環境の整え方
・自分との関連
・アカデミック・セルフコンセプト
・自己効力感
・記録
・内発的目標
など

 

メモ:

●有用性
・効果の高い勉強法というのは 必ずしも自分ではその効果が実感できない からです。試してみた時の感覚では「これはあまり良くないなあ」「あまり覚えられていないなあ」と感じる学習法が、実は長期的にみればより効果が高いということもあります。

●アクティブリコール
・アクティブリコールとは「勉強したことや覚えたいことを、能動的に思い出すこと、記憶から引き出すこと」です。
・学術的にはアクティブリコール以外にも、 想起練習・検索練習(Retrieval practice)、 練習テスト(Practice test)と呼ばれることがありますが、同様の概念です。
・「 ブツブツ呟いて教えるフリをしながら書き出す白紙勉強法」を紹介します。
・その際のポイントは、元の情報を見ない、つまり 記憶の手掛かりがない状態 で、頑張って記憶から内容を引き出すことです。
・次に②、わかっていないこと、忘れていることについて教科書を見直し、情報を確認します。
・本を開けない状況でも、昨日覚えたことを頭の中で思い出す(アクティブリコール)という効果的な勉強ができます。思い出せなかったところは、電車を降りたあとに確認し、フィードバックします。

●連続的再学習
・最強の学習法:アクティブリコール+分散学習=連続的再学習
・連続的再学習では、まず新しい範囲を勉強する時には、少なくとも1~3回、内容を思い出せるようになるまでアクティブリコール(紙に書き出す、思い出すなど)をします。

●精緻的質問と自己説明
・「なぜそうなっているのか(Why)?」、「どのようにそうなっているのか(How)?」などと、自分自身に質問していく勉強法です。
・自己説明とは、何かを学習している時に、学習者が自分自身に向けて、学習内容や学習過程の理解について説明することを指します。ほかにも、数学や物理などの問題を解いている時に、その問題の意図や問題解決の過程を自身に説明することも、自己説明に含まれます。精緻的質問よりも、「自己説明」の範囲はやや広いので、少しわかりにくい概念かもしれません。

●インターリービング
・インターリービングは、知識を得る勉強だけでなく、運動のスキルにも応用できるので、今何かのスポーツに打ち込んでいるという人にも参考になる学習法です。
・異なるスキルやタスクを混ぜ合わせてランダムに練習(ランダム練習)するほうが、それらを個別に連続して練習(ブロック練習)するよりも、最終的な学習の成果が高まる現象のことを指します。
・インターリービングを行って勉強している時は正答率がブロック学習をしている時よりも低いためか、インターリービングは、 効果を実感しにくいという特徴 があります。
・インターリービングは、多くの勉強の場面で効果の高い学習と言えますが、注意点もあります。それは、全く異なる教科を混ぜこぜにしてもあまり効果が望めない、ということです。
・全く理解していない場合は、最初にブロック学習を行い、ある程度理解を深めてから、インターリービングを導入したほうが良いかもしれません
・この資格試験の勉強をする時に、教科書を読んでから問題集をやっていくのですが、問題集は混ぜこぜのインターリービングでやるようにしています。
・数学の教科書・参考書などを解く時は、前後の章の問題を混ぜこぜにして解いてみる、歴史を「一問一答」のような本を使って勉強する時は、時代をバラバラにして答えてみるなど、インターリービングをどのように自分の勉強に取り入れられるのか考えてみましょう。

●記憶術
・僕は、イメージに変換する時は、形容詞や動詞への変換をなるべく避けて、具体的な「人」や「物」に変換するようにしています。

●モチベーション
・自分との関連を考えさせ学ぶ価値を認知させることを 利用価値介入(Utility value intervention)といいます。特に、ある特定の科目について不得意だと思っている人やモチベーションが湧かない人にとっては大切なステップだと思います。
・自己効力感を高めるためには、小さな目標を設定すること以外にも、 セルフモニタリング と言って、自分の勉強の進捗状況を記録することが有効です
・学習におけるモチベーションや学習成果を高めるためには、外発的な目標を目指すのではなく、内発的な目標を設定するほうが良いという報告があり
・人は、機会がなくてできなかったことよりも、機会が与えられており「自分でやろうと思えばできたのに、やらなかったこと」に後悔するのだと言います。
スマートフォンの画面を見づらくする、使いづらくするといった方法もあります。  例えば、表示をグレースケール(白黒表示)にすることは、その1例です。
スマートフォンの真ん中にヘアゴムを巻くという「ヘアゴムテクニック(The hair band technique)」と呼ばれる方法をとる人もいます。

●ぼーっとする時間
・何かを勉強したあとの「ぼーっとする時間」(英語ではWaking rest/Wakeful rest)も記憶の長期記憶への保存(固定化)に一定の役割を果たしているのではないかという論文があります

●睡眠
・覚えにくいものや、暗記が必要なものがあれば、寝る前に学習・復習することは有効であるかもしれません。何かを長期的に覚えておくことが学習の1つの目的であるならば、 睡眠も学習の一部 と捉えるべきだと言えるでしょう。

●不安
・不安や焦りなど、自分のネガティブな感情に対処するために僕が行う有効な方法として、 ジャーナリング があります[、]。ただ起きた出来事や感情だけを記す日記ではなく、ある出来事に対する自分の感情や考えと、それに対する自分の理解や、取ろうとしている対処法などについて書きます。